正規より300万円年収が低い非正規社員の人生の先行きを誰が照らすのか

恐ろしいほどの格差があることはわかってましたが、まさにそれが浮き彫りになった形。正規と非正規での平均給与の差は実に315万円にもなることが報じられています。しかも、その格差は年々広がっています。大卒の1/4が非正規雇用の時代。

企業の正規雇用と非正規雇用の人が2016年に受け取った平均給与の差は315万円で、4年連続で差が広がっていることが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。人手不足などを背景に賃金水準が上がる中、正規と非正規の格差は拡大している。

約2万1千カ所の事業所を抽出調査した。平均給与(平均年齢46・0歳)は422万円で、4年連続で上昇したが、正規(役員らを除く)の487万円に対し、非正規は172万円で、315万円の開きがあった。

正規と非正規を分けて統計を取り始めた12年は、差が300万円だった。その後、4年間で正規の平均給与が19万円上昇したのに、非正規は4万円の上昇にとどまり、差が広がった。

業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が769万円で最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が234万円で最も低かった。

 

via: 正規と非正規、年間給与に315万円の差 4年連続拡大:朝日新聞デジタル

 

非正規雇用の格差

非正規雇用の問題が騒がれ続ける中、その状況は改善に向かっていません。正規雇用と異なり給料も不安定、雇用も不安定、いつ仕事が無くなるかわからないのでかなりのストレスを抱えて生活することになります。

また、ほとんど同じ仕事をしているにも関わらず正社員の方が遥かに高い給料をもらっていることについての不満もよく耳にするところです。実力的にも差が無いようなケースも多く、まさに企業にとってはや「安い労働力」ですから使い勝手がよいのでしょう。

大卒であっても4割が非正規雇用になっている時代です。企業からしたら非正規雇用の方が使いやすいのですから、政府が制限をかけなければ当然こうなってしまうことは道理でしょう。そしてそれが能力とは関係なく、制度の問題として格差を生んでしまっているという現実があるのです。

全年齢対象での平均年収が172万円で、正規雇用の平均との差は実に300万円近い。これは本当にありえないことですが、まかり通ってしまっている。政府の怠慢としか言いようがありません。

 

非正規雇用者はいずれ高齢者になる

このような非正規雇用も若い内はまだいいかもしれません。体が健康でさえあれば、毎日生きていく分のお金は稼ぐことが出来るわけですから、その貧困も中々可視化されないでしょう。しかし、彼らが病気になったり高齢になったら一体何が起こるでしょうか。

社会保障などは会社は一切払っていませんから、そうなると彼らは自分の貯金や(もしも奇跡的に払えていたとして年金)で生活することになります。貯金は極めて難しいでしょうし、最近は70歳が定年という考え方も広がってきています。

彼らはいつ体を壊してしまうかもわからない恐怖の中、貯金もなく、社会保障も受けられない状態で暮らさなくてはなりません。しかも能力は別にほかの人と比べて物凄く劣っていたわけでは決してありません。制度が生み出した被害者なのです。

当然、中には生きていけなくなる人もいるでしょう。公的な社会保障を結果として受ける人も増えるはず。生きていけない人達を前にして、行政は無視するわけにはいきませんから。でもその保障にかかるお金は莫大です。

若い頃から普通に働いていたら、正規雇用という形で社会的な身分が安定していたなら必要のなかった社会保障。若者が減って税収が落ち込む中、彼らの救済もしなくてはならない。どこかでボタンを掛け違えているのです。

政府は責任を感じないといけない

さて、このような制度にしてしまったのは誰なのか。それは紛れもなく政府であり、そして企業の意向でもあります。そのような大きな力によって、力無い労働者は制度によって格差をもたらされているのです。

流動的な労働力といえば聞こえは物凄く良いですが、実際に働く人たちからしたら非常に不安定であることは当然わかることです。このような制度を推し進め、非正規雇用の規制をゆるめていった政府は絶対に反省して今後の制度改革に努めるべきでしょう。

One thought on “正規より300万円年収が低い非正規社員の人生の先行きを誰が照らすのか

  • 2018年2月16日 at 3:17 PM
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    正規・非正規格差を議論するにあたって、そもそも「正社員」という概念が生まれた歴史を知っておくことは有益だろうと思い、杵渕の論文に良くまとまっていますので紹介させて頂きます。
    http://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-18810624-32001.pdf
    ただ、これには正規・非正規格差までは書かれていないので、私見も述べさせて下さい。
    まず、タテ社会という前時代的慣習から日本的雇用制度が生まれ、それが偶然にも高度経済成長期にうまくワークしたことで定着し、「正社員」という概念が生まれた。ここまでは杵渕の論の通り。「正社員」は政治活動・組合活動を通じて自分達の身分を守ることに尽力するが、経済成長が止まってしまったため、活動は限られたパイから「正社員」の取り分を増やすという展開になった。結果的に搾取対象の「非正規」が生まれた。
    2018年時点で言うと、企業は「強くなりすぎた正社員」に身構えて「非正規」を増やす方向で組織作りをしているし、厚労省は「労働者保護政策」を行っているものの、「非正規」は保護対象外とみているようです。私は、「非正規」が組織化して「企業」と手を組み、「正社員身分」を倒すべく政治に働きかける展開を期待しています。

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