なぜCMは炎上するのか? メカニズムを分析し予防がしたい

僕は有志で「炎上CM分析委員会(仮名)」を立ち上げることにした。その目的は、なぜCMが炎上するのかという原因を探ること。それを元に予防策を考え、傷つく人を減らしたり広告による損失を減らしたい。一体なぜCMは炎上してしまうのか?

こんなことを先日呟いたところ、多くの人から反応を頂いた。現在複数名の方が協力を申し出てくれたので、5月中にはキックオフができそうだ。この記事では、一体なぜ炎上CMを分析したいと考えたのか、これからどのようなアプローチを取っていくのかを簡単にまとめておきたい。

炎上CMとは何か

特定のCMが、SNSで激しいバッシングに遭い公開を取りやめて企業が謝罪するケースが後を絶たない。僕がtwitterで見かけた範囲でも、恐らく10から20くらいは見てきたような気がする。リスティングはこれからやっていくけれども、直近ではキリンが顧客である女性を馬鹿にしたような広告を打って炎上→謝罪へと追い込まれた。

定義についてはおいおい確定させるが、恐らくはこのように「SNSに、ネガティブな形で、広範に取り上げられ、ブランドイメージのマイナスを意識して、公開を取りやめた上で、企業が謝罪したCM」を炎上CMと呼ぶことになるのではないかと思われる。

ただし、「ブランドイメージのマイナスを意識して」については議論の余地がある。なぜならば、そこに「人権を損ねるような文言」や「特定の人を傷つける内容」が含まれていた場合は、ブランドイメージ云々とは別次元のレベルにおいても公開を取りやめるべきだからである。が、基本的に広告を出しているのが営利企業であるのであくまでその観点から捉える方がわかりやすい可能性はある(今後議論する)。

なぜ炎上CMに着目したのか

ジェンダーや民族、他にもあらゆる社会課題がある中で今回炎上CMに着目した理由はいくつかある。一番大きなものは「一体何回こういうことを繰り返すのだろうか?」と純粋に疑問に思ったことだ。何度も何度も同じようなシチュエーションの広告がバッシングされて公開停止に至っているのになぜ制作サイドはこれを繰り返すのだろう。

続いて、それは予防出来るものなのではないか、ということ。世にある様々な社会問題を無くすことは難しいが、今回は介入することで何らか社会が変化し易い側面があるのではと考えている。炎上CMはイデオロギーの問題であると同時に、ビジネスのためのマーケティングや広告に「失敗」していることを意味しており経済的な損失が明確である。企業が改善のためのインセンティブを持ちやすいことが想定される。

更に、四角い世界を丸くするというメディア自体が関心を持っているのは「対話不可能なほどの価値観のぶつかりあい」においてそれぞれのステークホルダーが持つ価値観や背景を深掘って理解・整理して提示することである。炎上CMを作り出すのは、そのCMに強い問題意識を持つクラスターであることが予想されるが、彼女ら/彼らは何に怒りを覚えているのか。あるいは企業側はどのような意図でそれを作ったのかに取り掛かることはメディアとしても意義があると考えた。

また、これらのオピニオンや炎上構造の理解は散発的に様々な場所で発信されるにとどまり、網羅的あるいは整理された状態でアーカイブされていることが少ない。これらを資料として取りまとめてみたいと考えている。そうすれば単にオピニオンを発信するよりも「使いやすい」ものになり、実際に機能しやすいだろうと予想している。

他にも、「企業の謝罪」という側面にも関心を持っている。これまで炎上した様々な案件について、企業側の謝罪が炎上した側に受け入れられるケースは極めて少なかったように思う。炎上を防ぐことだけでなく、炎上が起きてしまってからどのように企業が対応するべきなのかという事後策について考えることも可能だと考えた。

要するに炎上CMというのは、慢性的で捉えづらい社会課題に対して「解決することが企業や社会にとって明快な(経済的なものを含む)価値を持ち、(CMという素材があるので)問題であった価値観が洗い出しやすく、SNS上で行われるので経緯を分析しやすく、予防や事後策という形で成果物を出しやすい」という点で取組むに値するものだと考えたのである。

今後の取組

まず直近では、ここ3-5年ほどの炎上CM案件を片っ端から収集することから始める。広告素材のアーカイブ、炎上までの経緯、関連する価値観クラスター、主張されたオピニオンの収集、企業の対応、それに対する反応などをかき集めて整理する。

それぞれの案件について簡単にケーススタディ化した上で、共通する構造を見つける(ここで炎上CMの定義を改めて確認することになると思われる)。構造的に捉え直した上で、どのような予防策が可能だったのか、どのように企業は対応するべきだったのかを検討したい。

また、これらの過程の中で例えばジェンダーの専門家や広告業界へのヒアリング、進捗を共有するミニイベントのようなものを開いていく。最終的にはこれらを取りまとめて資料にしたい(内容によっては書籍化することも視野に入れたい)。

その後はその資料を元に広告業界にリサーチやコンサルティングを行うようになり、この社会から炎上CMが減るようになれば理想的である。加害的でなく、顧客にきちんと訴えかけるメッセージを持ったCMは制作可能だと思われる。そこにこそ寄与する形でこの委員会の活動を活かすことが出来れば万々歳だ(何かを抑圧するだけでなく、全員がポジティブな方向に進めるような介入が理想だ)。

大前提

炎上CM云々の更に大前提として、僕自身が常日頃から考えることは「有形無形を問わず、暴力的な物が少ない社会が良いな」ということである。炎上CMについて、僕はその理由についていつも共感することばかりではないが、しかし炎上には必ず怒りや悲しみが含まれている。不公平や不公正についての叫びが含まれている。

この世界に人を傷つけるようなモノは極力少ない方が良いだろう(もちろん0にはできないかもしれないが努力は出来るだろう)し、企業にとっても「傷つけたくてやっている」わけではないのなら本当に勿体無いし残念なことだと思う。ブランドイメージは著しく傷つき、広告の制作費用はパーになる。担当者も責任を取らされるかもしれない。

僕が様々なことにどのような価値観を持っているかは、このメディアを読んでいただければわかると思う。もしもこの活動に関心のある方は是非Twitterなどで連絡をいただきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です