男性不妊は48%、不妊治療を女性だけの問題にしては決してならない

不妊治療は女性がするもの、不妊は女性が原因。そんな旧態依然の価値観で悩んでいるのであれば男性の診断も強く勧める。不妊治療の場合、男性側に原因がある割合は実に48%もあるんだから。まさか不妊治療を奥さんにだけさせてないですよね?

不妊治療は女性がクローズアップされることが多い。だが、世界保健機関(WHO)の調査では、「男性のみが原因」「男女ともが原因」はそれぞれ24%。つまり、男性が関与しているケースは48%と半数を占めるのだ。男性不妊。すなわち、男性が原因となっている不妊治療の現状をリポートする。

「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)ですね」2013年夏、茨城県の団体職員、酒井隆一さん(39)=仮名=は、泌尿器科の診察室にいた。「何ですか、それ?」

精索静脈瘤とは、精巣の静脈に血液が逆流してこぶのようになっている状態をいう。精巣の温度を上げるなどし、精子を作る機能を低下させてしまうのだ。精索静脈瘤は、男性不妊の原因の35%程度にみられる。

酒井さんは07年、30歳で1歳下の妻と結婚した。「避妊をやめたら、すぐに子供ができるだろう」しかし、なかなか授からなかった。そこで10年、不妊専門クリニックを受診した。子宮に精子を注入する「人工授精」、体外で精子と卵子を受精させて戻す「体外受精」と治療をステップアップしたが、結果は出なかった。

via: 【男性不妊治療の現場から】少ない専門医、進まぬ受診「男性も不妊の当事者」(1/4ページ) – 産経ニュース

 

 まず不妊症とは

不妊治療の話をする前に、そもそも不妊症とは何かというのを確認しておきたい。「不妊症」と検索して上位に上がってきたページにあった説明を見てみると「結婚して1年で妊娠しなければ不妊症」とのこと。厳密な医学的定義ではなさそうだけど、ここではそこは深く立ち入らない(若年のセックスレスの問題は留意すべきでしょう)。

一般に結婚を考える年齢で、避妊せず、通常の夫婦生活を送っていれば、だいたい結婚して半年で7割、1年で9割、2年で10割が妊娠するといわれています。「避妊やめたらできちゃった」「避妊していないとすぐ次の子ができて困っちゃった」というのが自然なのです。 via 不妊症ってどういうこと?

性生活を営んでいるという前提に立てば、基本的には2年くらいで妊娠するらしい。妊娠を望んでいるのにそれが出来ないとなると、とりあえず不妊症ということになるようだ。そしてそこで登場するのが不妊治療-不妊症であっても子どもを作りたいという人のための医療的介入である。

原因がわからなくても不妊治療は始まる

不妊症には様々な要因が考えられ、また原因の特定が困難である場合もある。そこで、原因を特定することよりも「要するに妊娠すればよいのだから、そのためのステップを踏んでいって、どこかで妊娠したらそれは問題が解決されたということだ」という考えに基いて治療が行われるんだね。

(出典:上述サイト)

まずは卵子排出のタイミングを見計らうタイミング法から始まり、少しずつ高度なものに変わっていくらしい。どこかで妊娠したらそれで良し。問題はどのくらい1つ1つのステップに時間を掛けるか。記事によれば5-6周期で動かすのが一般的と言われてみたいだけど、やはり時間が掛かるみたい。

大体不妊治療しなくちゃと思い始めるのは子どもをそろそろ生みたいと思っているタイミングだということを考えると、年齢的な不安を抱えている可能性も高い。そこで何年も待つとなると苦しいし、何より女性側の問題だとされると女性は精神的にかなり追い詰められるのではと思う。そこで今回の引用記事のような男性サイドにも目を向けたい。

男性不妊

不妊治療は基本的に婦人科で行われるけど、実際男性が不妊の原因になっているケースは48%。精液検査で分かる場合もあるし、精液検査で「精子がいる」ことまではわかっても、実は卵子の膜を越えられないとか精子が機能を持てていない場合もあり、それは基本検査ではわからないそう。精子がいれば大丈夫という話ではないのですが、男性の検査はそこで切り上げてしまうことが多いなら女性側に問題があると思われがちなのも納得。そしてそれは良くないね。

(出典 上述サイト)

「基本検査で精子は引っかからなかったんだから不妊の原因は女性側にある」と軽々に判断するのはどうやら間違い。そもそもどうして不妊かわからない割合も実に10%。どちらかに問題がある、という考え自体も危ないかも(片方を責めたりしそうだし)。精密検査や、精液ではなく睾丸などの検査をすることで引用記事のように「実は自分が精索静脈瘤だった」という場合もある。

どうしても不妊治療は女性が主体のように思われがちで、精液検査で引っかからなければ女性側に問題があると考えがち、状況によっては女性を責めたり、夫家族からも冷たい視線を浴びることもあることを考えると、このような情報はもっと男性サイドに広まるべきだね。

妊娠は1人じゃ出来ないから、治療も2人で

不妊治療の主体が女性になってしまうのは、どうやら数字を見ると明らかに間違い。どちらが原因かはしっかり調べないとわからないのだから、安易に「女性側の問題である」として責任を押し付けるのはやめたい。泌尿器科や婦人科で治療や検査を受けられるようなので、もし子どもが欲しいならしっかり調べるべきだね。

ただし、「性的機能が無い」とわかると物凄く落ち込んでうつ状態になる男性もいると言うからそこの精神的なショックを受ける可能性は考慮した方が良い。実際記事の中では『精液検査で悪い結果が出ると、「男らしくない」という言葉に敏感になったこともあった』とあり、検査が出るのが怖いから治療したくない男性も少なくなさそう。

だけど女性は今まで当然その恐怖を抱えながら治療の主体であったことを考えなきゃね、と思うのだ。検査の度に「自分は女としての機能を果たせないのかもしれない」という恐怖は想像を絶する。

そんな不安もまた女性だけに課すのではなく、二人で子どもを育てていきたいなら二人で一緒に背負うのが良いと思う。お手伝い感覚でも妻のサポートでもなく、自分自身、そして夫婦の問題として考えていくのが良いよね。

なお、調査では男性の検査は、半数近くが「女性の検査が終わってから」と答えているが、湯村代表は「男性の検査や治療を後回しにしているうちに、女性の年齢が上がると妊娠しづらくなってしまう。男女同時進行で診療したほうがいい」と提言する。
via 少ない専門医、進まぬ受診「男性も不妊の当事者」

「お前に原因が無かったら、その時初めておれも検査をする」という態度が全く理性的でないことは、データからも明らかだし、この記事で説明出来たと思う。でも僕が言いたいのは男性批判ではなくて、単純に「子どもがほしいなら、本当の意味で協力していこう。知識が足りないならこの記事をキッカケに調べてみよう」ってことだ。

P.S.セックスレス

少し話はそれてしまうけれど、不妊症を「結婚してから1年経っても子どもが出来ない状態」とするならセックスレスの問題も関わってくるよね。結婚してもセックスするとは限らないので。セックスレスというのは1カ月以上夫婦の間で性交渉がない状態と定義されているから不妊治療にはこのセックスレスの克服も含まれるのかもしれない。

色々な原因が考えられるけど、僕はその1つは長時間労働があると思う。共働きなら余計にだけど、やっぱり帰ってきてもうクタクタになってしまっていたら中々体力も無いし頑張る気力も沸かないはず。長時間労働は本当に誰も幸せにしないので、なんとか変えられないものかと思うのだけれど。

2 thoughts on “男性不妊は48%、不妊治療を女性だけの問題にしては決してならない

  • 2018年2月26日 at 5:06 PM
    Permalink

    E.N.(四角丸)様とTwitterにて複数回、遣り取りさせて頂いた内容に関しまして、E.N.(四角丸)様よりご希望が御座いましたのでこちらに転記させて頂きます。
    以下、転記内容となりますが、より分かり易く、詳細にお伝えする為にTwitterで遣り取りさせて頂いた内容より、一部、修正と追記を行っております。
    何卒、ご容赦願います。

    私達夫婦は何年も前に不妊治療終えていますが、妻も私もに不妊治療外来受診の初診時、加齢的要因に関しまず絶望的なことをまず主治医から言われました。
    具体的には「貴方たちはこの年齢でウチの病院に来られた訳ですから、まずハッキリ申し上げておきます。期待しないで下さい。」当時、妻は40歳、私は40代半ばでした。
    それでも治療を望みました。
    まず治療が始まる前に双方の状態を検査する訳ですが、共に加齢による卵子の減少(状態の良い卵子も減少)と精子の活動量が低下(元気な精子が少ない)という厳しい現実をまず突き付けられました。
    治療を続け卵子が育つのを待って(比較的状態の良さそうな卵子をいくつか選別して採卵)、それに合わせて採精した精子の中から比較的元気なものを選んで貰い、顕微受精を行ってもらいました。
    何とか受精成功(但し、複数個受精して貰いましたが正常に細胞分裂始めたのは1個のみでした)。
    授かった子供も何とか妻のお腹で順調に育ち、9週間近く経過しました。
    主治医よりそろそろ安定期に移行するので、不妊治療医院から通常の産婦人科に紹介状を書くから来診して下さいとの話があり、その相談を行ったのがある年のクリスマス・イブでした。
    その日も妻は検査を行って貰い、異常がなかったのを記憶しています。
    しかし、翌朝、妻が「何かおかしい。病院へ行きたい。」と言ったのですぐに病院へ向かったのですが、既にお腹の子供の心臓は停止しておりました。
    処置も当然、その際に行われました。
    妻は私に謝ってくれたのですが、身心共に一番、辛く苦しかったのは間違いなく妻の方です。
    私たち夫婦は打ちひしがれましたが、それでも暫く時間が経過すると妻は再び不妊治療を続けることを希望しました。
    時間を置いて不妊治療を再開。
    結局、その後、3回顕微授精を繰り返しましたが、まともに受精することすらできませんでした。
    当時は健康保健も使えず、自治体からの助成金も少なく、ほぼ手出しでしたので合計数百万円のお金も喪失しました。
    残ったのはXmasが子供の命日という厳しい現実のみ。
    妻は治療を後悔していないと言いますが、治療時の身体への大きな負担は年齢を経て、今もまだ妻の身体にその影響を及ぼしています。
    我々のような苦しみやリスクを避ける為には、若い世代の方々が不妊について正しい情報と知識を得られ、若いご夫婦が共に若さが保てている内に(早いうちに双方の現在の状態をチェックしておくことも重要です。)安心して妊娠にまで到れる社会を再構築する必要が有ると思います。
    勿論、産む産まないはそれぞれの夫婦の自由ですし、それを上の世代が強いるというのは以ての外だと思います。
    但し「子供が欲しいけれど、自分たちはまだ若いし、今はもっと夫婦の時間楽しみたい。多少、先になっても不妊治療を行っている芸能人や有名人は子供が出来ているし、後からでも何とかなるだろう。」程度の無知識に後回しにしていると後々、待っているのは本当に厳しい現実です。
    特に女性の心身に掛かる負担は年齢が増すごとに大変になります。不妊治療は壮絶なほど女性にとって苦しいことが多いのです。
    男性も加齢が進めば精子の数も減るし、活動量も低下しますし、精子自体が劣化していく現実を多くの方々に知って頂きたいです。
    原因が女性ではなく男性にあることもほぼ半分だとも思ってもらって間違いありませんので。
    そして双方、高齢になればなるほどの妊娠は授かった子供の健康にも大きなリスクを与える可能性があることも知って頂きたいです。

    また今も不妊治療をされて、ご苦労されているご夫婦に対して、未だに差別や偏見を持つ方も多いですが、それも無知識に起因することが殆どなので、周知が進めばそういったことも少なくなっていくと期待しております。

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  • 2018年2月26日 at 11:06 PM
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    こんにちは、現在57才、44才の時8年の不妊治療をへて娘を出産しました。
    もし、これを読んだ人で
    「44才でも大丈夫なんだ!」
    と思われたらそれは違います。
    わたしが通ってたのは評判の不妊治療専門のクリニックでしたが、その病院で当時出産までたどり着いたたぶん最高齢です。今でもそうかもしれません。
    タレントさんやネットではもっと上のママさんを見かけますが、今まで娘の同級生のママで私より上の方に会った事はありません。
    それぐらい大変なことなのです。
    そこまで遅くなったのには色々有ったわけで、30才で結婚、34才で治療を始め(これが遅い)
    36才の時1回目の人工授精で妊娠しました。
    ずっと順調だったのに31Wの時突然胎児死亡しました。
    原因は臍帯が捻じれて詰まったという事ですが、詳しくは分かりません。
    なまじ1回目で妊娠したのでステップアップに踏み切れず、その後10回以上人工授精しましたが1度も妊娠せず。
    40才の時初めての体外受精で2回目の妊娠をするも、8週で稽留流産しました。
    それから8回目の体外受精でやっと3度目の妊娠、出産に至りました。

    私が最初クリニックに通い始めた時、
    「3年間通う覚悟で来てくださいね」
    と看護師さんに言われ、そんなに!と思いましたが、2回の妊娠が有ったので諦めきれず
    最終的に3年よりはるかに長い8年間通いました。
    費用も総額400万円以上かかりましたが、会社も上司もが非常に理解があり、午前中2時間抜けて注射を受けに行くとか突然2日休みなどでも許してもらえたので続ける事が出来ました。
    頑張れば出来る訳ではないし、年齢だけ見れば娘に障害が出る可能性も高かったわけで、色々な意味でラッキーだったと思います。

    主人は常に協力的で、いつも治療のスケジュールを優先してくれました。
    不妊の原因は主人の側にも私の側にもこれと言ったものはみつからず。
    体外受精の時も常にG1の受精卵を移植出来ていました。
    ホルモンの値も良好で子宮内膜も充分な厚さがありました。
    なぜ着床しないか結局原因は分からずじまいでした。
    着床は生殖医療の最後の難関だと言われました。

    結果が良かったので後悔はしていないのですが、育児は高年齢の身には体力的にきつかったです。
    そして最近やっと育児が終わったと思ったら反抗期と更年期障害と親の介護問題が団体でやってきて
    精神的にきついです。

    それともう1つ、子供が欲しいと思いながらなぜ4年間もクリニックに行かなかったのか
    もっと早く治療を開始していれば状況は変わっていたのかないう事は考えます。
    それだけ敷居が高く、情報も少なかったのですが...

    今はネットでいくらでも情報が得られます。
    子供が欲しいなら出来るだけ早く夫婦そろって検査を受けて頂きたいと思います。

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