北朝鮮はなぜ国連を無視しながら人道支援は求めるのか

アメリカや国連の警告を無視してひたすら軍拡に走る北朝鮮。しかしそれと同時に、国連には人道支援を求めています。一体どんな論理でそれを行っているのでしょうか。都合の良い理屈を振りかざすのが国際政治の基本であることを教えてくれます。

金正恩氏(労働新聞より)

韓国政府が国連児童基金(ユニセフ)と世界食糧計画(WFP)からの要請を受け入れ、北朝鮮に対する人道支援に800万ドル(約9億円)を拠出することを決定したことが、波紋を呼んでいる。支援をめぐり、韓国国民の6割以上が否定的に見ているという世論調査の結果もある。

一方、北朝鮮は韓国の発表に一切反応していない。しかし、国連総会に出席するために訪米している北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は国連に対して支援を要請しており、これに対しても韓国から非難の声が出ている。

 

via: 世界の善意を「核の悪意」で踏みにじる金正恩氏

なぜ彼らは人道支援を求めるのか

 

世界中を敵に回しながらミサイル開発、軍事拡張を行っている北朝鮮。他の国との関係など知ったことはないとでも言いたいような勢いですが、そのくせ人道支援を求めているという不思議な国です。一体彼らはなぜこのように振る舞うのでしょうか。

2つの側面からの回答ができます。1つは実際にものすごく窮乏した国民がいて、餓死者も出ているレベルだということ。もう1つは、彼らは国際関係において自己利益の最大化を常に狙っているという側面です。

北朝鮮の国民に罪は無し

北朝鮮は、もう数十年単位で困窮しており地方に行くほど生活が厳しい状態が続いています。にも関わらず農業などには投資が行われず軍備拡張にばかりお金が回っている。地方の人達は政治に関与する力も余裕もなく、国営放送を見て北朝鮮という国家への忠誠を強めています。

生きるか死ぬかという状態で身売りも行われるような農民の生活がある以上、政府がどのような性質であれ国際社会はその人達への支援をしないわけにはいきません。人権を標榜する限り、それは義務として機能します。北朝鮮が国家としてどう振る舞おうと人道支援が行われるなら、当然北朝鮮としては(たとえ国家としては一般に誇りがないと言われそうな行為であれ)自己利益最大化のためにそうするわけですね。

食料は他が持ってきてくれるのだから安心して軍備拡張出来る。拡張すればするほど今後の交渉には有利になるのだからそんなに美味しい話はありません。

支援物資はどこへいくか

容易に想像することが出来るわけですが、支援物資の大半は中抜きされて政府へと横流しされます。窮乏する国民のための支援が、結果的には政府の力になってしまうのだから最悪のパターンです。

 

人道支援物資というのは上空から現場に投げ落とすといったやり方がされる場合もありますが、北朝鮮のように極めて統制の強い国家ではそれが難しく、結局政府を通さざるを得ない。そして政府を通すということは中抜されるということ。

それでは支援しているはずがむしろならず者国家の力を強めているだけだという批判も当然出てくるわけですが、それでも困窮する人達がいる限りは支援を止めるわけにもいかない。

ここにも一つのジレンマがある。人権保障のために支援をしたい、が支援をすると政府に横流しされて結果的に国際社会に負担がかかる。

より良い解はあるのか

このようなジレンマに陥った時、何が出来るのか。考えられる一つの方策は、北朝鮮との交渉を通してなんとか現場にたくさん届くような形で支援をすることしかないでしょう。簡単ではなく即時的ではないかもしれませんが、これが対立する視点を包含する一つの納得解。

北朝鮮政府に物資で支援したい国など無い。人命のかかっていることであり、しかし横流しが多すぎる。となると横流しを少しでも減らす形で支援出来るように交渉するしかない。そしてそれはいまも熱心に行われているはずです。

人権が保障されない人達(この場合だと飢餓からの自由が奪われている)が少しでも減ることを祈ります。

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